リスクアセスメント実践

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  1. BIGDr.Workerの使い方説明(動画)
    以下のリンクから、 BIGDr.Workerの使い方を説明した動画(約30分)が閲覧できます。
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    (内容)
    • リスク評価(TRA計算)の原理の解説
    • BIGDr.Workerの使い方の説明
    • パソコンを使ったデモンストレーションとリスク評価の実施例の解説

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  2. BIGDr.Workerについて
    以下の解説書をお読みください。
  3. TRA法でのでのリスク評価の解説
  4. BIGDr.Workerの操作に必要な作業の解説
  5. BIGDr.WorkerでのTRA計算のやり方解説
  6. 有害性評価値(許容濃度)等が設定されていないときにリスク評価のやり方解説
  7. 混合物のリスク評価法解説

I. BIGDr.Worker/GSSMaker Worker Tool/作業者リスクアセスメント関連 

1.安衛法ハザード情報 検索早見表

リスク評価を行う場合にはまず、評価したい物質のハザード情報を収集する必要があります。
安衛法におけるリスク評価では、ハザード情報として「許容濃度」や「OEL(職業ばく露限界値)」が得られれば、 その値をそのまま「GSSMaker Worker Tool」「BIGDr.Worker」のハザード情報入力値(有害性参照値)として利用できますので、 許容濃度やOELの収集がポイントになります。 (通常は、NOAEL(最大無毒性量)等を収集した後、試験条件等を考慮したアセスメントファクターで除することにより、 有害性参照値を導出する必要があります。)
そこで、許容濃度やOELがどのデータベースに掲載されているのかを星取表形式でまとめた「検索早見表」を ご用意しましたので、ハザード情報の収集にご活用ください。 各データベースへのリンクは、表の見出し部分にございますので、 ハザード情報が掲載されているデータベースに移動した後、CAS番号でハザード情報を検索してください。
安衛法ハザード情報 検索早見表のリンクはこちら

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2.PROC(プロセスカテゴリ)の選び方

ここでは、GSSMaker Worker Tool、BIGDr.Workerの作業者ばく露シナリオを設定する際に必要となるPROC(プロセスカテゴリ)の 最新の解説表や選定支援フロー/チェックリストをまとめています。
そもそもPROCとは、EU REACH規則において作業者ばく露評価を行うために規定されているもので、 作業現場における計28種類の典型的な作業プロセスで構成されています。
例えば、PROC7は工業用スプレーを使う作業、PROC10はローラー・ブラッシング作業に対応付けられています。
GSSMaker Worker Tool、BIGDr.WorkerではこれらのPROCを選択し、その他の条件を設定することにより、 作業者のばく露量を推定することが可能となります。

(1) PROCに関する最新の解説表(2015/7/10改訂案)

REACH CSA Guidance R.12の最新の改訂案(2015/7/10改訂版)がEU ECHAより公表されておりますので、その一覧表を以下に示します。これまでのPROCの説明よりも詳しく解説されておりますので、PROCを選定する際の参考にしてください。

※本解説表は、EU ECHA(欧州化学品庁)が公開しているPROC解説表(PDFファイルのp.50)
に記載されているPROC解説表をみずほリサーチ&テクノロジーズが一部文言を補足しながら和訳したものです。

PROC No. 名称 説明及び例示
PROC1 ばく露の見込みのない閉鎖系プロセスにおける化学製品の製造・精製及び同等の閉鎖系プロセス
  • 化学産業の閉鎖系プロセスにおける化学物質や混合物の製造作業。
  • 本閉鎖系プロセスにおける物質の移し替え(充填や排出等)や閉鎖系でのサンプリングは、本PROCに含まれる。一方、開放系での物質の移し替え(充填や排出等)は、本PROCには含まれない。(※PROC8a/8b参照。)
PROC2 管理された状態での定期的なばく露を伴う閉鎖系(連続)プロセスにおける化学製品の製造・精製及び(他分野での)同等の閉鎖系プロセス
  • 化学産業の閉鎖系プロセスにおける(限定的な手作業が介在する連続プロセスでの)化学物質や混合物の製造作業。
  • (化学産業以外の産業における)化学産業と同程度の閉鎖系(連続)プロセスも本PROCに含まれる。
  • 本プロセスに関わる閉鎖系での物質の移し替えや閉鎖系でのサンプリングは、本PROCに含まれる。一方、開放系での物質の移し替え(充填/排出)は、本PROCには含まれない。(※PROC8a/8b参照。)
PROC3 管理された状態での定期的なばく露を伴う閉鎖系バッチプロセスにおける化学産業での製造・調合及び(他分野での)同等の閉鎖系プロセス
  • 化学産業の閉鎖系プロセスにおける(限定的な手作業が介在するバッチプロセスでの)化学物質の製造や混合物の製造作業。
  • (化学産業以外の産業における)化学産業と同程度の閉鎖系(バッチ)プロセスも本PROCに含まれる。
  • 本プロセスに関わる閉鎖系での物質の移し替えや閉鎖系でのサンプリングは、本PROCに含まれる。一方、開放系での物質の移し替え(充填/排出)は、本PROCには含まれない。(※PROC8a/8b参照。)
PROC4 ばく露する機会のある化学製品の製造
  • (ばく露を防止するための設計にはなっていない)化学物質の製造や混合物の製造作業。
  • 本プロセスに関わる閉鎖系での物質の移し替えや閉鎖系でのサンプリングは、本PROCに含まれる。一方、開放系での物質の移し替え(充填/排出)は、本PROCには含まれない。(※PROC8a/8b参照。)
PROC5 バッチプロセスにおける混合撹拌(mixing & blending)
  • 製造・調合セクターや化学品のエンドユースセクターにおける固体原料や液体原料の混合作業
  • 撹拌容器への充填または撹拌容器からの排出、サンプリングは、本PROCには含まれず、別活動として捉えられる。(※PROC8a/8b参照。)
PROC6 カレンダー加工
  • 昇温条件下における表面積の大きな表面に対する作業
  • 例:繊維、ゴム、紙のカレンダー加工作業
PROC7 工業用スプレー
  • 液体や固体を、圧搾空気や水圧または遠心分離等により大気中に放散(噴霧)する作業。表面コーティング、接着、表面処理(ポリッシャー)/クリーナー、エアケア製品、ブラスト噴霧を含む。
  • 「工業用」の意味 : 特定の作業技術を有した作業者が、監督下で作業プロセスに従事する場合を指す。あるいはエンジニアリングコントロールの下で、訓練された作業者により作業がなされている場合も該当する。
  • ただし、産業施設での作業を単純に意味するわけではない点に留意が必要。
PROC8a 専用設備を伴わない物質や混合物の移し替え(充填や排出)
  • ばく露を軽減するための専門的な技術的管理を伴わない状態での、容器やコンテナ、搬入設備、装置での大容量の化学物質の搬入・搬出作業
  • 例:積荷/積み下ろし、充填、投棄、袋詰め、計量
PROC8b 専用設備を伴う物質や混合物の移し替え(充填や排出)
  • ばく露を軽減するための専門的な技術的管理を伴う状態での、容器やコンテナ、搬入設備、装置での大量の化学物質の搬入・搬出作業
  • 具体的には、専用に設計された設備での大容量(数10kg以上)の化学物質の輸送を指し、ばく露は移送作業そのものというより付随作業等において主に想定される。
  • 本PROCにはタンカーでの積荷/荷卸しやドラム缶への充填作業等が含まれる。具体的な作業例としては、積荷/積み下ろし、充填、投棄、袋詰め、計量など。
PROC9 小容量の容器への物質や混合物の移し替え(計量を含む専用の充填ライン)
  • 排出された蒸気やエアロゾルの排出を捕捉し、漏出を最小化するために専用に設計された充填ライン作業。
  • サンプリング作業も含まれる。
PROC10 ローラー、ブラッシング
  • ペイント、コーティング、リムーバー、接着、クリーニング剤等の表面塗布作業。作業に伴い、しぶきによるばく露の可能性がある。
  • 本PROCには、柄の長い用具を用いた作業も含まれる。
PROC11 非工業用スプレー
  • 大気放散技術を用いた作業(液体や固体を、圧搾空気や水圧、遠心分離等により大気中に放散(噴霧)する作業)
  • 表面コーティング、接着、表面処理/クリーナー、エアケア製品、ブラスト噴霧を含む。
  • 「非工業用」の意味 : PROC7の工業的条件に合致しない場合に相当。非産業施設での作業を単純に意味するわけではない点に留意が必要。
PROC12 発泡品の製造における発泡剤の使用
  • 液体の混合物においてガスバブルを形成することにより、発泡品の製造工程を促進するための化学物質の使用作業
  • 連続プロセス、バッチプロセスいずれにも適用可能。
PROC13 浸し塗り(dipping)や注ぎ込みによる成形品処理
  • 浸し塗り(dipping)、注ぎ込み、浸漬(immersing and soaking)、洗い流し、物質による洗浄等の作業。
  • このPROCには、乾燥やめっき処理後の処理槽を取り扱う場合も含まれる。
  • 処理後の製品が使用されるライフサイクル段階については別途、考慮する必要がある。
PROC14 タブレット化、圧縮、押し出し、ペレット化、造粒化
  • 混合物や物質を成形化するプロセス。
PROC15 試験研究施設での試薬としての使用
  • 試験研究施設での小規模(1Lまたは1kg以下)な物質使用。
  • 試験研究施設や研究開発(R&D)施設での大規模な物質使用は工業プロセスとして扱うべき。
  • 本PROCには、質的にコントロールされたプロセスでの使用が含まれる。
PROC16 燃料の使用
  • 未燃焼の状態において限定的なばく露の可能性がある燃料(添加剤を含む)の使用作業。
  • 閉鎖系プロセスからの移し替え作業も含まれる。
  • 本PROCではPROC8やPROC9を別途考慮する必要はない。
  • 本PROCでは燃焼ガスヘのばく露は含まれない。
PROC17 金属作業プロセスにおける高エネルギー条件下での潤滑油の注入
  • 潤滑油が高い温度・摩擦条件に接するような金属作業プロセス。
  • 例えば、金属の圧延・成形プロセス、金属の掘削(drilling)や研削(grinding)など。
  • 本PROCには、潤滑油を容器に充填・排出する作業は含まれない。
PROC18 高運動エネルギー条件下での一般的なグリースや潤滑材の使用
  • 手作業工程を含む、高運動エネルギー条件下での潤滑剤やグリース剤の使用。
  • 本PROCには、潤滑油等を充填する作業は含まれない。
PROC19 手の接触を含む手作業工程
  • 手や腕へのばく露を伴う作業。
  • 個人用保護具以外にばく露を軽減しうる専用設備やばく露管理がなされていない場合が該当する。
  • 例えば、セメントの手動での撹拌工程、漆喰の製造工程、毛髪染料や漂白剤の混合工程など。
PRO20 小規模施設での機能性液体の使用
  • 機能性液体(熱や圧力の伝導流体など)の定期的な充填・排出作業。
  • 閉鎖系システムへの機能性液体の移し替えも含まれる。
  • 例えば、モーターやエンジンオイル、ブレーキ液及びこれらの家庭向け用品の充填・排出作業。
  • 本PROCではPROC8やPROC9を別途考慮する必要はない。
PROC21 マテリアルや成形品と結合した物質の低エネルギーでの機械操作(manipulation)や取扱作業
  • 材料や成形品の手作業による切断、冷間圧延、組み立て・分解など。
  • 本PROCは、金属等の塊状の物体の取り扱いや移動作業にも適用される。
PROC22 大幅な昇温条件下における鉱物や金属の製造・加工
  • 製錬所(smelters)、溶鉱炉、精錬所(refineries)、オーブン等における作業。
  • ただし、鋳造(casting)、湯出し(tapping)、ドロッシングは本PROCには含まれない。
  • また、温度が下がり、冷えた原料を取り扱う場合には、PROC21やPROC26に該当する。
PROC23 大幅な昇温条件下における開放系での加工・移し替え作業
  • 製錬所(smelters)、溶鉱炉、精錬所(refineries)、オーブン等における鋳造(casting)、湯出し(tapping)、ドロッシング作業。
  • 温度が下がり、冷えた原料を取り扱う場合には、PROC21やPROC26に該当する。
PROC24 マテリアルや成形品と結合した物質の高エネルギー条件下での(機械的)作業
  • 物理的に高温または高い運動エネルギーが物質に対して加えられている状態。
  • 例えば、熱間圧延作業、加熱成形作業、研削作業、機械的な切断・掘削・研磨・剥離作業等が該当する。
PROC25 その他の高温条件下での金属作業
  • 溶接作業、はんだ付け作業、ガウジング作業、ブレージング(ろう付け)作業、ガス切断作業等
PROC26 常温下での固形の無機物質の取扱作業
  • 粉末状になりうる状態での鉱石、精鉱、金属、その他の固形の無機物質(塊状ではない)の移し替えや取り扱いの作業。
  • 本PROCでは、PROC8a、8b、9(いずれも移し替え作業)を別途考慮する必要は無い。
  • 塊状の物体を取り扱う場合には、PROC21に該当する。
PROC27a 金属粉末の製造作業(高温工程)
  • 高温冶金(乾式)による金属粉末の製造作業
PROC27b 金属粉末の製造作業(湿式工程)
  • 高温冶金(電解式、湿式)による金属粉末の製造作業
PROC28 機械の手作業によるメンテナンス作業(クリーニングや修理)
  • 上記のいずれのカテゴリーにも属さない、使用時のメンテナンス作業。
  • 例えば以下のような事例が含まれる。
    • 閉鎖系システムではあるが、そこを開放し、定期的にクリーニング作業を行う場合
    • シフト式又は低い頻度で実施されるような、一般的に専門的/分離方式のクリーニング作業
    • 機械周辺にある飛沫の除去、フィルターに付着した原料やフィルターそのものの除去
    • 直接的には「機械周辺」とはいえないフロアの清掃。例えば、粉末製品を扱うために粉末がフロアに落ちているため清掃が必要な場合など。
PROC0 その他

(2) PROC選定フロー/チェックリスト

GSSMakerの作業ばく露シナリオを作成する際に必要となるPROC(プロセスカテゴリ)を選定しやすいよう、3段階のステップに分けて選択する方法をお示しします。なお、選択するPROCは1つとは限らないため、以下の3ステップを一通り実施して頂き、該当するPROCをすべて選ぶようにしてください。

【第1ステップ】 判断に迷いやすいプロセスについて

PROCを選定する際、特に判断に迷いやすい作業として、「サンプリング」と「移し替え」が挙げられます。これらの作業を実施している場合には、まず以下のフローチャートで適切なPROCを選定してください。実施していない場合には第2ステップに進んでください。

<サンプリングに関するフローチャート>


<移し替えに関するフローチャート>


【第2ステップ】 ばく露が大きいプロセスについて

 次に、ばく露量が比較的大きいPROCの該当の有無をチェックします。以下のチェックリストで、該当するPROCが有るかどうか確認してください。
<ばく露が大きいプロセスのチェックリスト>
PROC No. 質問 チェック欄
PROC5
バッチプロセスでの固体原料や液体原料の混合・撹拌作業を行っていますか?

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 製造・調合セクターや化学品の最終用途としての固体原料や液体原料の混合作業。
  • 撹拌容器への充填または撹拌容器からの排出、サンプリングは、本PROCには含まれず、別活動として捉えられる。
 
PROC6
カレンダー加工作業を行っていますか?

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 昇温条件下における表面積の大きな表面に対する作業。
  • 例:繊維、ゴム、紙のカレンダー加工作業。
 
PROC7
工業用のスプレー作業を行っていますか?
例えば、表面コーティング、接着、表面処理/クリーナー、エアケア、ブラスト噴霧等が該当します。
「工業用」の判断基準は、単に産業施設で実施されているかどうかではなく、適切な技術管理の下で作業が行われているかどうかがポイントです。詳しくは以下の参考をご覧ください。工業用に該当しない場合には、PROC11をご確認ください。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 液体や固体を、圧搾空気や水圧、遠心分離等により大気中に放散(噴霧)する作業。表面コーティング、接着、表面処理(ポリッシャー)/クリーナー、エアケア製品、ブラスト噴霧が含まれる。
  • 「工業用」の意味 : 特定の作業技術を有した作業者が、監督下で作業プロセスに従事する場合を指す。あるいは、エンジニアリングコントロールの下で、訓練した作業者により作業がなされている場合も該当する。ただし、産業施設での作業を単純に意味するわけではない点に留意が必要。
 
PROC10
ローラー、ブラッシング作業を行っていますか?
飛沫によるばく露の可能性があるかどうかが判断のポイントです。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • ペイント、コーティング、リムーバー、接着、クリーニング剤等の表面塗布作業。作業に伴い、しぶきによるばく露の可能性がある。
  • 本PROCには、柄の長い用具を用いた作業も含まれる。
 
PROC11
非工業用のスプレー作業を行っていますか?
「非工業用」の判断基準は、産業施設外で実施されているかどうかではなく、適切な技術管理下で行われていない作業が該当します。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 液体や固体を、圧搾空気や水圧、遠心分離等により大気中に放散(噴霧)する作業。表面コーティング、接着、ポリッシャー/クリーナー、エアケア製品、ブラスト噴霧が含まれる。
  • 「非工業用」の意味 : PROC7の工業的条件に合致しない場合に相当。非産業施設での作業を単純に意味するわけではない点に留意が必要。
 
PROC12
発泡品製造における発泡剤の使用作業を行っていますか?
連続プロセス、バッチプロセスいずれも該当します。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 液体の混合物中でガスバブルを形成することにより、発泡品の製造工程を促進するための化学物質の使用作業。
  • 連続プロセス、バッチプロセスいずれにも適用可能。
 
PROC13
浸し塗り(dipping)や注ぎ込みによる成形品処理作業を行っていますか?
浸漬、洗い流し、(洗浄剤による)洗浄作業等も該当します。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 浸し塗り(dipping)、注ぎ込み、浸漬(immersing and soaking)、洗い流し、物質による洗浄等の作業。
  • このPROCには、乾燥やめっき処理後の処理槽を取り扱う場合も含まれる。
  • 処理後の製品が使用されるライフサイクル段階については別途、考慮する必要がある。
 
PROC14
タブレット化、圧縮、押し出し、ペレット化、造粒化の作業を行っていますか?

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 混合物や物質を成形化するプロセス。
 
PROC17
金属作業プロセスにおける高エネルギー条件下での潤滑油の注入作業を行っていますか?
金属の圧延・成形プロセス、金属の掘削・研削作業等が該当します。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 潤滑油が高い温度・摩擦条件に接するような金属作業プロセス。例えば、金属の圧延・成形プロセス、金属の掘削(drilling)や破砕など。
  • 本PROCには、潤滑油を容器に充填または容器から排出する作業は含まれない。
 
PROC18
高運動エネルギー条件下での一般的なグリース剤や潤滑剤を使用する作業を行っていますか?
機械作業だけでなく手作業での工程も含まれます。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 手作業工程を含む、高運動エネルギー条件下での潤滑剤やグリース剤の使用。
  • 本PROCには、潤滑油等を充填する作業は含まれない。
 
PROC19
手への接触を含む何らかの手作業を行っていますか?
例えば、手動でのセメント撹拌工程、漆喰の製造工程、毛髪染料や漂白剤の混合工程などが該当します。

【参考:ガイダンスでの説明内容】
  • 手や腕へのばく露を伴う作業。個人用保護具以外にばく露を軽減しうる専用設備やばく露管理がなされていない場合が該当する。
  • 例えば、セメントの手動での撹拌工程、漆喰の製造工程、毛髪染料や漂白剤の混合工程など。
 

【第3ステップ】 その他一般的なプロセスについて


 最後にその他一般的なプロセスについて確認します。以下のフローチャートに沿って、該当するPROCが有るかどうか確認してください。

<一般的なプロセスに関するフローチャート>

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3.TRA計算 ばく露シナリオ項目の感度解析表(作業者ばく露のRCRが1を超えた場合)

BIGDr.WorkerでTRA計算を行った結果、作業者ばく露がRCR ≥ 1となった場合には、以下のPDFをご参照ください。
https://www.jcia-bigdr.jp/jcia-bigdr/doc/document/worker_RCR.pdf
トルエンとフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)を対象として、作業者ばく露シナリオの各項目(プロセスカテゴリ、作業期間、換気状態等)を変更した場合にRCRがどの程度変化するかを一覧表にまとめたものです。ばく露シナリオを再検討する際の参考としてください。

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4.BIGDr.Workerを利用して作業者リスク評価を実施する際の注意事項

BIGDr.Workerを利用して作業者リスク評価を実施する際の注意事項
この資料では、BIGDr.Workerを利用して作業者リスク評価を実施する際の注意事項について、利用者からの問合せ情報などを踏まえ、4つのケースについて説明いたします。
BIGDr.Workerは、ECETOC TRAの作業者評価プログラムを実行するためのわかりやすいインタフェースを提供するものであり、実際の計算はECETOC TRAツールが行っています。この資料はECETOC TRAによる作業者リスク評価の適用範囲について、説明しています。

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5.混合物リスク評価のためのガイダンス

会員企業より要望の高い混合物のリスク評価手法について、ガイダンスを作成しました。
    JIPS混合物リスク評価のためのガイダンス Ver1.3(2017年7月)

本リスク評価手法(GHS法)では、リスク評価を行いたい混合物において、混合物のGHS分類に寄与する物質を評価すべき成分物質(リード物質)に選定し、リード物質それぞれのリスク比(RCR)を加算することでリスク判定を行います。
国際的に普及しているGHS分類を用いるため、日本の事業者にとってもリード物質の選定基準がわかりやすく、実用的に利用しやすいのが特徴です。
本ガイダンスをぜひご活用ください。

JIPS混合物リスク評価のためのガイダンス Ver1.3(2017年7月)

  第1章.概要
    1.1 背景と目的
    1.2 混合物リスク評価の概要
    1.3 各章の概要
  第2章.リード物質選定方法の概要
    2.1 日化協で開発したリード物質選定方法(GHS法)の概要
    2.2 欧州でのリード物質選定の動向紹介
  第3章.GHS法
    3.1 背景
    3.2 基本的な考え方
    3.3 GHS法を用いた混合物評価の全体像
    3.4 GHS法によるリード物質選定方法
  第4章.GHS法を用いた混合物評価例
    4.1 有害性情報調査
    4.2 ハザード判定
    4.3 ばく露評価
    4.4 リスク判定
  附属資料
    附属資料1. JIPSリスクアセスメントガイダンス第2版、追補1(混合物の毒性評価)
    附属資料2. リード物質選定方法の比較例

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6.BIGDr.Worker/GSSMaker Worker Toolを活用した作業者リスクアセスメント実践の流れ
~リスク評価の全体フロー、各機能の活用方法、行き詰まった時のヒントなど~

最終更新日:2015年8月31日

ここでは、安衛法改正対応などの作業者リスクアセスメントを実施するため、BIGDrの各種支援機能の活用方法をQ&A形式でまとめております。
具体的には、ハザード情報の収集からリスク評価、作業者周知のためのプリントアウトに至るまでの全体フローをまとめているほか、BIGDr の各支援機能の活用方法や行き詰まった時のヒントなどを掲載しております。
ご不明な点等がございましたら、BIGDrの右上にある「お問い合わせ」からBIGDrヘルプデスクまでお気軽にお問い合わせください。

Q1 GSSMaker(統合版)とGSSMaker Worker Tool / BIGDr.Worker の違いが分からない。
GSSMaker(統合版)は、環境、消費者、作業者の3種類のリスクアセスメントを実施できるのに対して、GSSMaker Worker Tool(以下「GWT」)/ BIGDr.Worker では作業者リスクアセスメントのみが可能です(GWTの機能は、後継のBIGDr.Workerに引き継がれております。新規に作業者リスクアセスメントツールを使用される方は、BIGDr.Workerを使用されることをお勧めいたします※)。
ただし、GWT / BIGDr.Workerでは、計算に必要なパラメータが統合版に比べて少なくなるほか、「安衛法ハザード情報 検索早見表」や「PROCの選び方」、本Q&A等のBIGDrの各種支援機能が活用できますので、効率的に作業者リスクアセスメントを実施することが可能です。
このため、GSSMaker(統合版)はGPS/JIPSに基づくリスクアセスメントツール、GWT / BIGDr.Workerは安衛法等の作業者リスクアセスメントツールとしてご活用ください。

※BIGDr.Workerは、コチラからダウンロードしてご利用ください。

Q2 GWT / BIGDr.Workerでは作業者リスクアセスメントの結果として、どういった情報が出力されるのか。
GWT / BIGDr.Workerでは、作業者リスクアセスメントの結果として以下の5種類のデータが出力されます。なお、入力データのうち「②長期-吸入(8時間平均)」の有害性参照値は入力必須項目となっているため、未入力の場合にはエラーメッセージ「有害性参照値~は必須ですので設定してください。」が表示されます。一方、③~⑤のデータは未入力であってもリスクアセスメントの計算は実行可能です。
  • ①長期トータル:長期-吸入(8時間平均)と長期-経皮のリスク判定比(RCR※)の合計値。
  • ②長期-吸入(8時間平均):8時間作業により長期間の吸入ばく露をした場合のリスク判定比。
  • ③長期-経皮:長期間、経口ばく露した場合のリスク判定比。
  • ④短期-吸入(15分平均):15分間の作業により短時間の吸入ばく露をした場合のリスク判定比。
  • ⑤長期-局所経皮:長期間、局所的な経皮ばく露(局所的な刺激等)をした場合のリスク判定比。
※リスク判定比(RCR):Risk Characterization Ratio。ばく露量と有害性参照値の比により算定される。この値が1以上の場合にはリスク懸念あり、1未満の場合にはリスク懸念なしと判定される。

Q3 作業者リスクアセスメントを実施する際、BIGDrのどの機能を活用すればよいのか分からない。
作業者リスクアセスメントの一般的なフローにおいて、BIGDrのどの機能を活用すればよいのかを以下に整理しましたので、参考にしてください。
許容濃度の調べ方については、以下の資料をご覧ください。
許容濃度の調べ方




Q4 評価したい物質の蒸気圧データが、「安衛法ハザード情報 検索早見表」で見つからなかったが、どうすれば良いか。
蒸気圧データが検索早見表で見つからなかった場合、BIGDrの「有害性情報DBポータル」に移動していただき、検索物質が以下のデータベースに掲載されていないかどうか確認してください。
以下に掲載したデータベース(ここでは日本語のデータベースのみを対象)では蒸気圧が掲載項目となっておりますので、当該物質の蒸気圧が掲載されている可能性がございます。
  • ・CHRIP(NITE)
  • ・環境リスク初期評価(環境省)
  • ・初期リスク評価書(NITE/CERI)
  • ・OECD SIDS 和訳(JETOC翻訳)

Q5 評価したい物質のハザード情報が、「安衛法ハザード情報 検索早見表」で見つからなかったが、どうすれば良いか。
ハザード情報が検索早見表で見つからなかった場合、NOAELやLOAEL(基本的に吸入のみ。経皮のNOAELやLOAELはほとんど掲載されていません。)からAF(アセスメントファクター)で除することで有害性参照値(有害性評価値)を算定する必要があります。
まず、BIGDrの「有害性情報DBポータル」に移動していただき、以下のデータベースのいずれかにヒットするどうかをご確認ください。ヒットしていた場合、そのデータベースに移動し、吸入NOAELを探してください。
  • ・環境リスク初期評価(環境省)
  • ・初期リスク評価書(NITE/CERI)
  • ・OECD SIDS
  • ・EU RAR(リスクアセスメントレポート)
  • ・ICSC(国際化学物質安全性カード)
  • ・EHC(環境保健クライテリア)
吸入のNOAELやLOAELが見つかったら、次にAFを設定します。AFの設定方法については、BIGDrの資料集にある「不確実係数設定方法の比較表」をご参照ください。
  NOAELの検索から有害性参照値(有害性評価値)の算定までの一連の流れについては、「リスクアセスメント実践」の「キースタディからの有害性評価値の算定方法」にも詳しく記載しておりますので、あわせてご参照ください。
ご不明な点などがあれば、BIGDrヘルプデスクにお問い合わせください。

Q6 有害性評価値の代替として、許容濃度や職業ばく露限界が見つかったが、 単位がppmで記載されているため、GWT / BIGDr.Workerの入力欄にあわせてmg/m3に 換算したい。
GWT / BIGDr.Workerにはppmからmg/m3の換算機能が搭載されております。
BIGDrの「リスクアセスメントツール」に移動していただき、「2.GSSMaker Worker Toolの利用手順」のp.6をご参照ください。当該ページに単位換算機能の使い方が示されております。
なお、BIGDr.Workerでは、有害性評価値の単位(ppmまたはmg/m3)が計算条件を入力するシート上で選択できます。

Q7 「安衛法ハザード情報 検索早見表」により、評価したい物質のハザード情報が、政令番号ベースでは掲載されていたものの、CAS番号ベースでは対応していないことが判明した。どう対応すれば良いか。
この場合は基本的にNOAELを検索したうえで、AFで除することにより有害性評価値を算定します。この方法についてはQ5をご参照ください。
(もう1つの方法としては、やや正確性は劣りますが、同じ政令番号の別のCAS番号のハザード情報のうち最も厳しい値を採用するという方法もございます。NOAELにより有害性評価値を算定する方法で大きな困難がある場合にはこの方法をご検討ください。)

Q8 「安衛法ハザード情報 検索早見表」では経皮データが見つからなかったが、有害性参照値を算出する方法は他に無いのか。
経皮の有害性参照値が直接掲載されている情報源としては、EU REACHのRegistered Substancesがありますが、行政によるデータチェックのなされていないデータが多く、データの所有権が登録企業側にある場合もあるため、掲載データをそのまま使う場合には注意が必要です。
確実な方法としては、経口のNOAELをAFで除することでまず経口の有害性評価値を算出し、その値を経皮の有害性評価値に適用するという方法があります。REACHのガイダンスによれば、経口から経皮へ外挿する場合のAFは1、吸入から経皮への外挿はcase by caseとされておりますので、経口の有害性評価値を経皮に適用するという方法が確実です。
一方、吸入→経口、経口→経皮のAFはいずれも1とされていることから、ECETOCのガイダンスでは吸入から経皮のAFも1とみなして計算している事例もありますので、場合によっては吸入の許容濃度から経皮のDNELに外挿するという方法もあわせてご検討ください。

Q9 PROC(プロセスカテゴリ)の選び方がよく分からない。
PROCは作業現場における計28種類の典型的な作業プロセスで構成されております。各PROCの内容を把握するため、まずはPROCに関する最新の解説表をご覧ください。
次に、PROCを以下の3ステップで確認していきます。自社の作業に該当するPROCは1つだけとは限りませんので、当てはまるものをすべて選ぶようにしてください。

【第1ステップ】 判断に迷いやすいプロセスについて
PROCを選定する際、特に判断に迷いやすい作業として、「サンプリング」と「移し替え」が挙げられます。これらの作業を実施している場合には、「リスクアセスメント実践」の「PROCの選び方」における第1ステップのフローチャートを活用することにより、適切なPROCを1つ選択してください。
サンプリングと移し替えのいずれも実施していない場合には第2ステップに進んでください。

【第2ステップ】 ばく露が大きいプロセスについて
次に、ばく露量が比較的大きいPROCの該当の有無をチェックします。第2ステップのチェックリストを活用することにより、該当するPROCがあるかどうか確認してください。
該当するPROCは1つとは限りませんので、当てはまるものをすべて選択してください。

【第3ステップ】 その他一般的なプロセスについて
最後にその他一般的なプロセスについて確認します。第3ステップのフローチャートを活用することにより、該当するPROCがあるかどうか確認してください。

以上の3ステップで選択したPROCについて、GWT / BIGDr.Workerで作業者ばく露シナリオを作成してください。

Q10 GWT / BIGDr.Workerで計算していると「1004 Error」が表示され、その後、同じような症状が繰り返し発生するようになった。どうすれば良いか。
このエラーは、何度も計算している場合にごく稀に発生することがあります。対処方法としてはECETOC TRA Toolのファイル一式を、新しいファイル一式に差し替えてください。
こうした対処が今後も必要になると思われますので、ECETOCからダウンロードしたECETOC TRA ToolのZipファイルは消去せずに保存しておくことをお勧めします。
上記方法でも解決しない場合には、BIGDrヘルプデスクへお問い合わせください。

Q11 GWT / BIGDr.Workerで混合物評価をすることは可能か。
「BIGDr.Worker」では、混合物の成分物質の物化性状、有害性評価値等が得られている場合に、混合物全体としての作業者リスク評価を実施することができます。
BIGDr.Workerでの混合物のリスク評価手法は、「JIPS混合物リスク評価のためのガイダンスVer.1.1( 2016年1月版)」の内容に則り実装されています。
ガイダンスは、このページ(「リスクアセスメント実践」ページ)内「混合物リスク評価のためのガイダンス」でダウンロードが可能です。

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II. GSSMaker統合版 / GPS/JIPS関連

1.リスク評価からGSS作成までの流れ

BIGDrの各種機能を活用した、リスク評価からGSS作成までの流れを以下の図にまとめましたので、ご参照ください。

1.1 JIPSにおけるリスク評価からGSS作成までの基本的な流れ

ステップ1:リスクアセスメントを行う物質を選択する

  1. 自社が販売する、又は製造事業所外に輸送する化学品のリストを作成。
  2. リスクアセスメントを実施する必要のない化学品に該当するかどうかを確認。

    【リスクアセスメントを実施する必要のない化学品】

    • 医薬品有効成分(API)である化学品
    • 産業用化学品として使用されず、したがって既に特定の規制対象となっている化学品(農薬の有効成分、殺生物剤、化粧品使用又は食品及び飼料使用のもの)
    • 軍事目的で使用される化学品(火薬類等)
    • 単離されず、輸送されない中間体
    • 厳格に制御された条件下で、製造事業所内で使用される単離された中間体
    • 研究開発用化学品
    • 化学製品の廃棄物やリサイクル物

ステップ2:情報を収集する

【収集する情報】
  • 標準パラメータ:化学品の名称や構造式等の一般情報、物化性状等。

    【標準パラメータ】

    • 一般情報:CAS番号、名称、構造式、化学品の組成 等
    • 物理化学的性状:分子量、蒸気圧、水溶解度、オクタノール/水分配係数 等
    • 環境運命・動態:生分解性、分解速度定数、生物蓄積性 等
  • ハザード情報:あらかじめ定めた健康及び環境のエンドポイントに基づく、各物質に固有の情報。

    【ハザード情報】

    • ヒト健康影響:急性毒性(経口、吸入、経皮)、刺激性及び腐食性(眼、皮膚)、感作性(呼吸器、皮膚)、変異原性/発がん性、反復投与(経口、吸入、経皮)、生殖/発生毒性(経口、吸入、経皮) 等
    • 環境影響(生態毒性):急性毒性、慢性毒性
  • ばく露情報:各適用/使用及び各企業に固有の情報。ばく露カテゴリに基づき、使用によって異なる情報。

    【ばく露情報】

    ※PROC、PC、AC、ERC等のカテゴリについては、BIGDr資料集「GPS/JIPSセミナー(実践編Ⅱ)」の参考資料、「GPS/JIPS安全性要約書のための「ばく露」に関する表現例」を参照。

    • 作業者:プロセスカテゴリ(PROC)、作業形態、物質形状、作業期間、飛散性/作業温度での蒸気圧、換気状態、呼吸保護具の有無と捕集効率、混合物の該否、保護手袋の有無と防護率 等
    • 消費者:製品カテゴリ(PC)、成型品カテゴリ(AC)、製品中の物質重量、経皮への移行係数 等
    • 環境:環境放出カテゴリ(ERC)、PRTR排出量(大気、水域、土壌) 等
【情報の収集にあたって考慮すべきこと】
  • 情報の入手方法:BIGDr資料集のセミナー資料等を参照。有害性情報についてはBIGDrの有害性情報DBやリンク集の有害性情報源等を活用すると効率的。
  • 情報の質の評価:BIGDrリンク集の有害性情報源に記載されている、情報源の優先順位を参照。優先順位1の情報源を利用することが望ましい。
  • データの不足:得られなかったデータがある場合、ステップ4で推計の可能性を検討。

ステップ3:リスクアセスメントを行う物質の順序を決定する

  • 以下のフローにしたがって各物質に優先順位を割り当てる。
  • 優先順位の判定結果を目安にして、リスクアセスメントを行う物質の順序を決定する。

化学品に固有のハザードがあるか

【化学品に固有のハザードがあるか】
  • ここでは、収集した有害性情報をGHS分類基準に当てはめた結果、何らかのGHS区分に該当した場合、「固有のハザードがある」と判定する。
  • 逆に、得られた有害性情報がすべて、GHS分類基準で「区分外」と判定される場合には、固有のハザードはないものとみなす。
  • GHS分類基準については、BIGDrの「リンク集」で、「第2版 JIPSリスクアセスメントガイダンス」のp.32~p.41や、「政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)」に掲載されている。
ステップ3で決定した順に各物質のリスクアセスメントを行う

ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える(不足するデータの補完を検討する)

  1. ステップ2で情報は収集しているが、優先順位に応じて揃えるべき情報が得られていない場合には、そのデータを推計するか、試験を行い、データを揃える。
  2. どのエンドポイントにどの推計手法が適用できるのかについては、BIGDrの「リンク集」から「第2版 JIPSリスクアセスメントガイダンス」の p.70 を参照のこと。
  3. ただし、データが不足している場合、必ずしもそのデータが必要になるわけではない、とされている。(「第2版 JIPSリスクアセスメントガイダンス」の p.50 を参照。)

【優先順位に応じて揃えるべき情報】

  • 優先順位に応じて揃えるべきとされている情報は以下の通り。上側の表はヒト健康影響、下側の表は環境影響(生態毒性)を示している。

ステップ5:ハザード判定

  1. 一般的には以下の式に従う。QSARの使用も可。
    【ヒト健康影響】 DNEL = NOAEL / AF
    【環境影響】   PNEC=LC50/AF (環境)
    [ NOAEL:無影響量  LC50:50%致死量 AF:アセスメント係数 ]

ステップ6:ばく露評価

  1. 作業者、消費者、環境について評価する。
  2. ECETOC TRA Tool を優先的に使用して評価する。
  3. さらに詳細な評価が必要な場合に、第2階層ツール(RiskOfDerm, ART, ConsExpo等)を使用して評価。

ステップ7:リスク判定

  1. 基本的にRCR(リスク判定比)による判定を行う。
    【ヒト健康影響】 RCR=曝露量 / DNEL
    【環境影響】 RCR= PEC / PNEC

    RCR ≥ 1:リスクが高い。詳細なアセスメント及びリスク低減措置が必要。
    RCR < 1:リスクは管理されている。さらなるアクションは不要。
【ステップ6:ばく露評価】にもどる
ばく露シナリオを見直すことで、リスク懸念がなくなる(RCR < 1)まで繰り返す

ステップ8:リスク評価プロセスおよび結果の文書化、公開

汎用テンプレートに沿って、GPS/JIPS安全性要約書(GPS Safety Summary:GSS)を作成し、ICCAのホームページに登録する。


次の物質へ【ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える】

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1.2 BIGDrを活用した場合におけるリスク評価からGSS作成までの流れ

1.2.1 GSSMakerに物質情報が整備されている物質の場合

ステップ1:リスクアセスメントを行う物質を選択する

  • GSSMakerの物質DBに、当該物質が掲載されていることを確認する。

ステップ2:情報を収集する

【収集する情報】
  • 標準パラメータ不要
  • ハザード情報不要
  • ばく露情報:各適用/使用及び各企業に固有の情報。ばく露カテゴリに基づき、使用によって異なる情報。

ステップ3:リスクアセスメントを行う物質の順序を決定する → 不要

(GSSMakerの物質DBに掲載されている物質から選択するのであれば、20物質程度しかなく、それらの優先順位を決定する必要性は低いため。)

ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える → 不要

(GSSMakerの物質DBにはベースセット情報は基本的に揃っているため。)

ステップ5:ハザード判定 → 不要

(物質DBの掲載物質についてはハザード判定済み)

ステップ6:ばく露評価

  • ステップ2の情報を用いて、GSSMakerを用いて評価する。

ステップ7:リスク判定

  • GSSMakerに出力されるRCR(リスク判定比)により、判定を行う。
    【ヒト健康影響】 RCR=曝露量 / DNEL
    【環境影響】 RCR= PEC / PNEC

    RCR ≥ 1:リスクが高い。詳細なアセスメント及びリスク低減措置が必要。
    RCR < 1:リスクは管理されている。さらなるアクションは不要。
【ステップ7:リスク判定】にもどる
ばく露シナリオを見直すことで、リスク懸念がなくなる(RCR < 1)まで繰り返す

ステップ8:リスク評価プロセスおよび結果の文書化、公開

  • GSSMakerのGSS作成機能により、GPS/JIPS安全性要約書(GSS)を作成する。必要に応じて内容を修正して、GSSを完成させる。
  • GSSを、ICCAのホームページに登録する。(BIGDr資料集を参照。)

次の物質へ【ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える】

1.2.2 GSSMakerに物質情報が整備されていない物質の場合

(GSSMakerに物質情報が整備されているが、自分で収集した値を用いる場合も含む)

ステップ1:リスクアセスメントを行う物質を選択する

  • GSSMakerの物質DBに、当該物質が掲載されていないことを確認する。

ステップ2:情報を収集する

【収集する情報】
  • 標準パラメータ: 化学品の名称や構造式等の一般情報、物化性状等。
  • ハザード情報: あらかじめ定めた健康及び環境のエンドポイントに基づく、各物質に固有の情報。
  • ばく露情報:各適用/使用及び各企業に固有の情報。ばく露カテゴリに基づき、使用によって異なる情報。

ステップ3:リスクアセスメントを行う物質の順序を決定する

  • 取扱物質数が相当多い場合には、優先順位のフローを目安にして、リスクアセスメントの優先順位を決定する。
  • 取扱い物質数が比較的少ない場合には、順次、評価を行えばよい。

ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える

  • どのエンドポイントにどの推計手法が適用できるのかについては、BIGDrの「リンク集」から「第2版 JIPSリスクアセスメントガイダンス」の p.70 を参照のこと。
  • ただし、データが不足している場合、必ずしもそのデータが必要になるわけではない、とされている。(「第2版 JIPSリスクアセスメントガイダンス」の p.50 を参照。)

ステップ5:ハザード判定

  • ステップ2やステップ4のデータを用いてDNELやPNECを算定する。

ステップ6:ばく露評価

  • ステップ2の情報を用いて、GSSMakerを用いて評価する。

ステップ7:リスク判定

  • GSSMakerに出力されるRCR(リスク判定比)により、判定を行う。

    RCR ≥ 1:リスクが高い。詳細なアセスメント及びリスク低減措置が必要。
    RCR < 1:リスクは管理されている。さらなるアクションは不要。
【ステップ7:リスク判定】にもどる
ばく露シナリオを見直すことで、リスク懸念がなくなる(RCR < 1)まで繰り返す

ステップ8:リスク評価プロセスおよび結果の文書化、公開

  • GSSMakerのGSS作成機能により、GPS/JIPS安全性要約書(GSS)を作成する。必要に応じて内容を修正して、GSSを完成させる。
  • GSSを、ICCAのホームページに登録する。(BIGDr資料集を参照。)

次の物質へ【ステップ4:評価に必要なベースセット情報を揃える】

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2.TRA計算においてRCR > 1となった場合のチェックポイント

GSSMaker では、TRA を実行した後、RCR > 1 となる項目が1つでもあると、GPS 安全性要約書を作成することができない設計となっています。そこで、RCR > 1 となった場合のチェックポイントを以下にまとめましたので、RCR を 1 未満にするための参考としてください。
なお、GSSMaker では TierⅠ-簡易モード、TierⅠ-通常モード、TierⅡモードという3種類の段階がございますので、チェックポイントもそのモードに応じて用意しています。

各モード、各ばく露対象に共通するチェックポイント
  • 「有害性参照値」は妥当ですか。信頼性のある値か、妥当な不確実係数を用いているかなどについてご確認ください。
  • 物理化学性状などの入力値と単位が対応しているか、もう一度ご確認ください。あわせて入力された値が正しい値かどうか念のため、再度ご確認ください。

① TierⅠ-簡易モードでRCR > 1となった場合
「TierⅠ-通常モード」に進む前に以下のポイントをチェックしてください。
ばく露の対象 チェックポイント 備考
作業者 「換気状態」は正しく選択されていますか。 換気状態の選択内容によってばく露量の減少率が大きく異なります。
「呼吸保護具」や「保護手袋」は正しく選択されていますか。 呼吸保護具や保護手袋を装着している場合、それを選択することでばく露量は大きく減少します。
PROCが正しく選択されていますか。 PROCは欧州での考え方と日本の一般的な考え方に差があるので、注意が必要です。
消費者 「PC/ACサブカテゴリ」は正しく選択されていますか。 PC/ACカテゴリだけでなく、サブカテゴリの選択内容によってもばく露量は変化します。正しく選択されているかチェックしてみてください。
環境

② TierⅠ-通常モードでRCR > 1となった場合
「TierⅡ」に進む前に以下のポイントをチェックしてください。なお、斜体字になっている項目は、①と共通するチェックポイントですので、既にチェック済みの場合には飛ばしてください。
ばく露の対象 チェックポイント
(斜字は再掲事項)
備考
作業者 「換気状態」は正しく選択されていますか。 換気状態の選択内容によってばく露量の減少率が大きく異なります。
「呼吸保護具」や「保護手袋」は正しく選択されていますか。 呼吸保護具や保護手袋を装着している場合、それを選択することでばく露量は大きく減少します。
PROCが正しく選択されていますか。 PROCは欧州での考え方と日本の一般的な考え方に差があるので、注意が必要です。
消費者 「混合物中の物質含有量(0~1)」は正しく入力されていますか。 ECETOC TRAデフォルトの含有率は50%に設定されていますが、例えば溶剤の場合、塗装後の壁での含有率(セミナーの例では2✕10-6)に修正する必要があります。
PC/ACサブカテゴリ」は正しく選択されていますか。 PC/ACカテゴリだけでなく、サブカテゴリの選択内容によってもばく露量は変化します。正しく選択されているかチェックしてみてください。
環境 SPERCのシナリオが正しく選択されていますか。 SPERCではシナリオが細かく分かれているため、ほかにも選択肢がないか確認してみてください。特に、ERC、工業分野およびシナリオの組み合わせが正しいか確認してください。
「サイトでの日当たり使用量[kg]」は正しく入力されていますか。 SPERCではサイトでの日当たり使用量として大きめのデフォルト値が設定されているため、入力し忘れるとばく露量が大きくなります。サイトでの使用量を入力するようにしてください。

③ TierⅡモードでRCR > 1となった場合
もう一度、①と②のチェックポイントを確認するとともに、以下のポイントについてチェックしてみてください。以下のチェックポイントをすべて確認してもRCR > 1になる場合には専門家にご相談ください。
なお、斜体字になっている項目は、①と共通するチェックポイントですので、既にチェック済みの場合には飛ばしてください。
ばく露の対象 チェックポイント
(斜字は再掲事項)
備考
作業者 「換気状態」は正しく選択されていますか。 換気状態の選択内容によってばく露量の減少率が大きく異なります。
「呼吸保護具」や「保護手袋」は正しく選択されていますか。 呼吸保護具や保護手袋を装着している場合、それを選択することでばく露量は大きく減少します。
PROCが正しく選択されていますか。 PROCは欧州での考え方と日本の一般的な考え方に差があるので、注意が必要です。
消費者 「混合物中の物質含有量(0~1)」は正しく入力されていますか。 ECETOC TRAデフォルトの含有率は50%に設定されていますが、例えば溶剤の場合、塗装後の壁での含有率(セミナーの例では2✕10-6)に修正する必要があります。
「PC/ACサブカテゴリ」は正しく選択されていますか。 PC/ACカテゴリだけでなく、サブカテゴリの選択内容によってもばく露量は変化します。正しく選択されているかチェックしてみてください。
環境 排出量の値だけでなく、処理施設の有無が正しく選択されていますか。 処理施設の有無によってもばく露量は減少しますので、正しく選択されているか確認してください。
SPERCのシナリオが正しく選択されていますか。 SPERCではシナリオが細かく分かれているため、ほかにも選択肢がないか確認してみてください。特に、ERC、工業分野およびシナリオの組み合わせが正しいか確認してください。
「サイトでの日当たり使用量[kg]」は正しく入力されていますか。 SPERCではサイトでの日当たり使用量として大きめのデフォルト値が設定されているため、入力し忘れるとばく露量が大きくなります。サイトでの使用量を入力するようにしてください。
その他
  • 消費者については、TRAではサブカテゴリを独自に作ることができます。この機能はGSSMakerではカバーしていないため、TRAを直接利用してください。
  • TRAのTierIIモードでは、STPのパラメータとして、河川流量[m3/d]や排水放出速度[m3/d]等が指定できます。この機能はGSSMakerではカバーしていないため、TRAを直接利用してください。

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3.キースタディからの有害性評価値の算定方法

環境省:環境リスク初期評価、NITE/CERI等:初期リスク評価書、OECD:SIDS

キースタディからの有害性評価値の算定方法については、以下のドキュメントを参照してください。
https://www.jcia-bigdr.jp/jcia-bigdr/doc/document/key_study.pdf

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4.ECETOC TRA ToolのFAQ日本語訳

  ECETOC TRA ToolのFAQを日本語訳にしたものです。
  この日本語訳は、日化協が一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター(JETOC)に作成を委託したものです。
     ECETOC TRA ToolのFAQ日本語訳 

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5.GSSMakerのQ&A

【動作について】

GSSMakerの「メイン」シートにあるボタン(「ヘルプ」や「TRAの実行」など)を押すことができません。
Excelのマクロが有効になっていないと思われます。
ファイルを開くと、画面上部に「セキュリティの警告 一部のアクティブコンテンツが無効にされました。」という表示が出ているかと思いますので、 その右側の「オプション」ボタンを押し、「このコンテンツを有効にする」を選択して、「OK」を押してください。

GSSMakerを開いた後マクロを有効にすると、「このブックには更新できないリンクが1つ以上含まれています。~」という表示が出る。
「継続」を押してください。
リスク評価やGSSの作成に影響を及ぼすことはありません。

「メイン」シートで「TRAの実行」ボタンを押すと、「C:\~がありません。パス名やファイルの存在を確認してください」というエラー表示が出てしまう。
シート「設定」画面に、ECETOC TRA Toolを保存したフォルダのパスを入力する必要があります。 フォルダの上部にあるパスをコピーして、「設定」シートの「TRA ver.3 のパス」の入力欄(セルD4)に入力してください。その際、パスの最後に「\」を付けるのを忘れないようにしてください。

メインシートの「シナリオの指定」で選択する各種カテゴリについて、REACHの使用記述子(※)では定義されているにも関わらず、選択できないものがある。
※PROC [Process Category]:加工区分、PC [Product Category]:製品区分、AC [Article Category]:成形品区分
GSSMakerで選択できない使用記述子がある理由は、GSSMakerの計算のベースとなっているECETOC TRAツールにおいてそもそも対応されていないためです。選択可能な使用記述子の中から、最もばく露形態が近いコードを選択してください。

【実施手順について】

「メイン」シートで、TierI(簡易モード、通常モード)、TierIIモードの意味がよく分からない。どれを選択すれば良いのか分からない。
各モードの利用シナリオを想定すると以下のようになります。
【TierI-簡易モード】
・リスク評価は詳しくないが、試しにリスク評価からGSSの作成までをやってみたい。
・十分に安全だとわかっている物質のリスク評価を行いたい。
【TierII-通常モード】
・ばく露シナリオを詳しく設定して、リスク評価を行いたい。
・簡易モードではリスク比(RCR)が1を下回らなかったので、SPERCを用いて詳細に計算したい。
【TierII】
・TRA Toolに精通しており、すべてのパラメータを詳細に設定してリスク評価を行いたい。
・TierI通常モードではリスク比が1を下回らなかったので、PRTR排出量等の実際の排出量を用いて計算を行いたい。

有害性参照値にどのような値を設定すればよいかわからない。
「リスクアセスメント実践」の「キースタディからの有害性評価値の算定方法」中のPDFファイルに、既存の有害性評価書を利用して有害性参照値(有害性評価値)を算定する方法が記載されていますので、ご参照ください。

【評価結果について】


TRA計算結果でRCR(Risk Characterization Ratio:リスク判定比)>1となったが、対応方法が分からない。
「TRAの実行」ボタンの下にある「RCR>1の場合のチェックポイントを表示」というチェックボックスにチェックを入れると、チェックポイントが吹き出しで表示されますので対応方法の参考にしてください。吹き出しを消したい場合にはチェックボックスのチェックを外してください。
また、作業者のRCRが1を超えた場合には、「リスクアセスメント実践」の「TRA計算 ばく露シナリオ項目の感度解析表(作業者ばく露のRCRが1を超えた場合)」中のPDFファイルに、作業者ばく露シナリオのどの選択肢を変更すればRCRがどの程度変化するのか(感度解析結果)をまとめた表がありますので、代替シナリオを検討する際の参考としてください。

【その他】

上記のQ&Aでは、疑問やトラブルが解決しなかったがどうすればよいか。
BIGDrの画面上部に「お問い合わせ」というリンクがありますので、そちらに移動していただき、 メールアドレス、お問い合わせ内容をご記入の上、 送信ボタンを押してください。 折り返し、事務局よりご回答を差し上げるように致します。

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